信州みそラボとはAbout Misolabo

「信州MISOラボ」とは
(信州みそ研究所)

「信州MISOラボ」とは、長野県味噌工業協同組合連合会が運営する信州味噌の専門研究機関です。
日本の代表的な伝統食品「みそ」で人々のより豊かな食生活に貢献することを目的に、みそ醸造技術及びみそ関連研究を日々行っています。
また県内各味噌メーカーに向けて製造技術や新しい技術開発などの情報提供を行い、技術の継承とさらなる発展に努めています。

活動内容

研究

信州味噌の「味」「香り」「色」「組成」を向上させ、さらにおいしい信州味噌の製造と普及をめざして研究をおこなっています。昭和34年(1959年)に設立以来、みそに関する第一線の研究に取り組み続けています。

品評会

製造技術の向上を目的として、毎年「長野県みそ品評会」「市販味噌研究会」を開催しています。 品評会では250点以上のみそが出品され、県内技術者の技とこだわりが披露されます。

分析・検査

メーカーからの依頼により、みそや加工品などの分析・検査を行い、安全安心な食品を提供できるようサポートしています。

【主な検査項目】エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩、水分、アルコール、放射線量、一般生菌数、大腸菌群、各種酵素活性など。

講習会

研究所からの成果報告の場として、また製造技術の向上・新技術の紹介普及を目的に「信州味噌技術講習会」を毎年開催しています。 食品表示に関する講習会、HACCP(ハサップ)講習会なども行っています。

みそ製造技術者養成講座

みそ製造専門技能者の育成を目的に、原料から製品にいたるまで、みそ製造全般にわたる座学と実習を組み合わせた講座を開講しています。(一期・2年間)

技術相談

メーカーを対象として技術的または食品衛生上の相談窓口となっています。

培養

各味噌メーカーに向けて、研究所で独自に開発した耐塩性酵母および乳酸菌の培養と配布を行っています。

研究報告

麹菌の研究香りよく、旨み豊かな麹菌を開発

みそ作りでは通常「アスペルギルス・オリゼー」という種類の麹菌が使われますが、当研究所では「今までにはない香味のみそを提供したい」との想いから、醤油作りで使われていた「麹菌アスペルギルス・ソーヤ(A. sojae)」に注目しました。
しかし、A. sojaeの胞子は緑色。そのまま使用したのでは信州味噌の特徴である冴えた山吹色がくすんでしまいます。そこで私たちは研究を積み重ね、高い酵素活性を持ちながら、色への影響が抑えられた「A. sojae 703株」を開発することに成功しました。 この麹菌を使って作ったみそは、香味に特徴があり旨味がのっていると評判です。

試験醸造を依頼した技術者
(味噌メーカー9社)の感想

香り やや醤油香が
感じられる
旨味がやや強い
やや着色しているが、
照りと冴えがある
所感 味噌本来の香味がある
色、味が良好である
香味に特徴がある
参考資料:信州味噌研究所研究報告1-5.37.2000
特許取得:3101140

酵母の研究時代にあった新たな酵母の研究

当研究所では、昭和43年(1968年)より「耐塩性酵母Y7株」を大量に培養し、各味噌メーカーに供給してきました。
しかし消費者の嗜好や仕込みの条件、仕込み方法が徐々に変化してきたことから、現在の仕込み方法でも発酵能力が高く、香り高いみそができる新たな酵母を探すことにしました。
研究所で収集し大切に保存してきた多くの酵母の中から仕込み試験を繰り返し、専門家とメーカー技術者による厳しい官能検査を行った結果、新たに「耐塩性酵母Y73株」を取得することができました。
「耐塩性酵母Y73株」は各メーカーに供給され、安定したみそ生産に貢献しています。
  増殖力 発酵力
30日経過 60日経過 イソアミルアルコール n-ブタノール エタノール
Y7株
(7×10^5 cells/g)

(1×10^5 cells/g)

(1.05 mg/100g)

(0.33 mg/100g)

(1.09 mg/100g)
Y73株
(8×10^5 cells/g)

(7×10^5 cells/g)

(2.46 mg/100g)

(2.08 mg/100g)

(1.72 mg/100g)
Y73株を使用した技術者の感想
B社 Y73はY7より発酵は旺盛だった。
C社 13日目に切り返し作業をした影響か、その後発酵が旺盛になりエタノール生成が高まったが、Y7のそれよりもY73の方が高かった。Y73は味噌の色の赤みがY7よりも冴えていた。
D社 Y73の発酵が旺盛であるとともに、Y7よりも芳香を感じた。
E社 Y7、Y73ともによく発酵して差は感じられなかった。
F社 Y73は発酵が良く香りも高くY7よりもよかった。色もY7に比べて冴えていた。
G社 非常によく発酵してY7よりも香味が優れていた。

参考資料:信州味噌研究所研究報告1-7.38.2003