今回はみその塩分と血圧の関係ということで、このテーマについて研究されているお二人の研究を簡単ですがご紹介させていただきます。
両先生もご指摘している点は、みそ中の食塩(NaCl)は単独で摂取した食塩(NaCl)とは異なる働きをしているか、またはみその中には血圧上昇を抑える物質が含まれているのではないかとおっしゃられています。
◆広島大学名誉教授 渡邊敦光先生による研究
一般的に実験に使用されるラット(SDラット)と、食塩に対して敏感に血圧上昇するラット(Dahlラット) に、(1) 2.3%食塩濃度のみそ入りのエサ、(2) 2.3%食塩濃度のエサ、(3) 1.9%食塩濃度のエサ、(4) 0.3%食塩濃度の普通のエサ、をそれぞれ与え飼育しました。 2、4、8、12週目に血圧を測定したところ、SDラットでは食塩を含むエサを食べても血圧は上がりませんでした。そして、食塩感受性のDahlラット(雄)では(2)2.3%または(3)1.9%の食塩を含むエサを与えたラットでは8週から12週にかけて血圧上昇したのに対して、(1)みそ入りのエサを与えたラットでは(4)0.3%食塩濃度の普通のエサを与えたときと同じ血圧上昇カーブを描きました(図4)。 また、雌のDahlラットでも同様に食塩のみだと血圧が上昇しますが、みそ入りのエサの場合は血圧は上昇しませんでした。
参考文献:みそサイエンス最前線「みその塩分が胃がんや血圧に及ぼす影響」
◆共立女子大学教授 上原誉志夫先生による研究
食塩感受性のラット(Dahl)に、(1)水、(2)0.9%食塩水、(3)1.3%食塩水、(4)みそ汁(食塩1.3%含有)を与え、同じエサを与えて飼育し血圧測定しました。 その結果、(3)1.3%食塩水を与えたラットに比べて、(4)みそ汁を与えられたラットを比較すると、食塩摂取量についてはみそ汁群の方が多かったのに対して血圧の上昇は抑えられており、約3割の減塩効果がありました(図2)。
参考文献:みそサイエンス最前線「みその摂取習慣と高血圧及び生活習慣病の予防について」